会社の近くにある喫茶店で初めてアイスカプチーノを頼んでみた。
おおよそ初めて行く店ではメニューの中で一番おすすめされてる商品を注文することで最大限マージンを確保しながら失敗を回避する小市民的性格をしているのだが、次回以降の来店時にはなるべく前回と違うメニューを頼むことで何か新しい経験を得られるようには意識していたりする。
ほどなく以前に数回ほど世間話をしたことのあるマスターが真っ白でふわふわの泡を乗っけたグラスとシロップのたっぷり入った小さな容器を持って来た。
ふと1週間ほど前に外注ライターさんと打ち合わせをした時に言われた「いつもアイスコーヒーばっかり飲んでますよね」というセリフがフラッシュバックする。
言われてみれば確かに打ち合わせの時はアイスコーヒーを頼むことが多いかも知れない。いや、そもそも打ち合わせのような真面目な話をするタイミングでアイスカプチーノとか頼む奴なんているんだろうか。
これまでの経験上、6人集まれば6人がホットかアイスのコーヒーを頼んでいたような気がするし、中にはコーヒーが苦手な人がいてアイスティーかウーロン茶に変わることがあったとしても、アイスカプチーノを注文したことは無かった。
もしかしたらそういう所にも日本人の周りに合わせることで心の平穏を保つ悪癖が蔓延っているのかも知れない。
なんてことを思いながら氷で冷やされたカプチーノを一口飲んでみた。カプチーノなんてこれまであまり飲んだこと無かったけど、その名前の響きから想像してたほど甘くない。
やっぱりアイスコーヒーが一番安定で間違いないんだな、と思いながらも次に来た時はやっぱり違うメニューを頼んでしまうんだろう。
人は変化に弱く周りと一緒であることに幸せを感じながらも、何も変化が無いことには嫌悪を抱く面倒な生き物だ。
カプチーノの泡だけが残ったカップを見ながら、同僚の前だからって変に格好付けずにシロップ入れれば良かったなと少し後悔した。